東神戸病院は、外来、入院に加え、在宅医療も展開しています。
今回は、基本「在宅」で治療を受けておられる患者様のおはなしです。(ご本人・ご家族には掲載することを承諾していただいています)人生の大先輩に失礼かもしれませんが・・親しみをこめて「八重ちゃん」と呼ばせていただきましょう。
八重ちゃんは100歳近い方で、在宅で訪問診療・訪問介護などを受けておられます。
いつも穏やかで、素敵な患者さんです。 春が過ぎ、桜が終わり時期には・・
八重ちゃん「八重桜も散りました。八重子も散ります。」
医師「大丈夫、来年も桜は咲きますよ」
無事、次の年を、桜を迎えることができました。
その八重ちゃんですが、幻聴に苦労されていました。
男の人が「どあほ!どあほ!」というのだそうです。
そのうち、男の人が子供を連れてきて、親子で「どあほ!どあほ!」というようになったと言っていました。
それからしばらくして、今度は孫も出てきました。でもこの孫はよくできている子らしく、「もうやめとき」と言ったりしているとのことでした。
ある日、下肢の痛みが出てきてコントロールできなくなり、食欲も低下したため入院されることになりました。検査しても、骨には異常はなく原因は不明でしたが、徐々に痛みもなくなりました。でも、長期臥床の影響で、入院前には何とか歩けていたものが、難しくなりました。入院中にリハビリテーションも行ってきましたが、元のレベルまで戻ること、歩行はむつかしいとの判断でした。もともと自宅ではトイレには自分で行かれていましたが、今回の退院後はポータブルトイレが必要となりました。
退院後、しばらくして・・「訪問看護の記録」から
「退院後歩行も不安定だったためポータブルトイレを購入された。少しずつ回復され今は自宅のトイレ使用されているためポータブルトイレは使用されていない。」
なんと・・トイレ歩行はむつかしいと判断されていたのに、ポータブルトイレがガラクタと化していました。
他の日の記録
「食事もおいしく食べています。ドアホの人もいなくなりました。」
「涙がようでます。なんでやろう?感謝感激の涙かな?」
そして・・
「死神さんが私の名前忘れているのと違うかな?」
家に帰って、見事に復活した八重ちゃん。あれだけ長く苦しんでいた「ドアホの人」もいなくなったとは。たしかに・・死神さんも、八重ちゃんには近寄れないのかも?