病院には、「理念」というものがあります。「理念」を調べますとこう書いています。
『「理念」とは、個人や団体が持つ根本的な信念や価値観、目標や指針を指します。これは、その人や組織が何を大切にし、どのような方向性を持って活動や行動を進めるべきかを示す基盤となる考え方です。』
東神戸病院の理念は3つです、①安全安心の医療を、患者様と共同して取り組み、一緒につくりあげます。②人としての命の平等や尊厳が守られる医療と制度を目指します。③住民参加の運動を大切にし、地域と共に歩みます。となっています。それぞれ、説明しようと思うと長くはなるのでここでは触れませんが、この3つにはいろんな意味が込められています。
最初に安全安心を掲げているのは、まず医療機関として、安全であることが最優先だろうと考えるからです。「あの病院、すごく親切・・だけど危ないよ。」では医療機関としては成り立ちませんよね。
病院ではいろいろな事故が起こります。よく医療事故と医療過誤を混同されることがありますが、医療事故は医療機関内で起こるすべての有害事象をさしますので、医療機関に問題があったかどうかではありません。一方、医療過誤は、医療を提供する側に逸脱行為があったために起こった事故のことを言います。医療過誤は、医療事故の中のごく一部です。実は東神戸病院では、かなり前から、医師集団を中心に「安全」を大切にしてきました。2003年には「私たちはより良い安全安心の医療を目指します」といった「アピール」を医局で確認しています。いわば宣言ですね。
病院の中で起こる、事故の中で多いものに転倒転落があります。これも、医療者側に、問題があった場合と、防ぐのがむつかしかった場合があります。どこの病院でも転倒転落が0ということはないと思います。転倒転落は、「いかに減らすか」ということと、「転倒した時に、骨折など重大なことが起きない」ようにすることの2点が重要です。
✍️次回は、実際に現場で直面したケースを後半でご紹介したいと思います。