
暑い夏が過ぎ、ほとんど秋がないような季節の移り変わりです。
最近ではインフルエンザが増加しており、学級閉鎖も増えてきています。コロナの感染が始まったころは、インフルエンザが減少し、「コロナの感染予防はインフルエンザにも有効なんだろうな」と考えていましたが、インフレンザの逆襲が始まったのでしょうか?
ただ、今回はコロナの話です。「え!今ごろ、コロナの話?」と思われるかもしれませんね。たしかに現在は統計的にはコロナは減ってきています。
コロナは、当初は強い毒性を持ち、感染すると急激に呼吸不全が悪化しました。東神戸病院でも、そうした患者さんを多く経験してきました。しかも、その当時は、治療薬はほとんどなかった(ステロイドは使えましたが、いまでは普通に使えるレムデシビルなどは一般の病院では使えませんでした)から、なすすべなく亡くなる方が多くいました。
コロナは、どんどん変異していきました。だから有効なワクチンの作成も難しいのでしょう。以前のように、コロナ肺炎で数日(あるいは早い時は数時間)で悪化する患者さんはほとんどいません。若い人が感染しても、人によっては「通常の感冒」より軽く済みます。しかし、厄介なのは、①感染力はやはり強いということ②コロナ肺炎で亡くなる方は減りましたが、高齢の方が感染した場合、もとの病気の進行や、肺炎の併発、そしてADL(日常生活動作)の低下で、その後の生活にも影響が出るということです。
病院や施設は、ご高齢の方や、免疫能の低下された方が圧倒的に多い場所です。そこに、治療や療養のために入院・入所されていて、不運にも院内・施設内で感染してしまうことがあります。感染数が減ったとはいえ、こうした危険は今もあります。医療機関や、介護施設でのコロナとの付き合いはなかなか終わりません。
「コロナなんて、たいしたことねえ!」という方々。若い人、元気な人にはその通りです。ただ、医療現場、介護現場ではこうした状況が繰り返されていることは知っていただきたいと思います。
