
「目に見えない不安」は、表情と沈黙にあらわれる
― 言葉にしない人ほど、心配になる ―
患者さんの不安は、必ずしも言葉として表れるわけではありません。
検査室での一瞬の表情、相談の場での沈黙、何気ない受け答えの間。
医療の現場では、そうした「声にならないサイン」に日々向き合っています。
今回の対談では、診療検査技師とメディカルソーシャルワーカー(MSW)が、それぞれの立場から、患者さんの見えない不安にどう気づき、どう関わっているのかを語り合いました。
仕事はちがっても、思いはひとつ。
患者さんの生活と安心につながる“まなざし”が交差します。
佐々木(検査技師)
患者さんの「目に見えない不安」に、どんなきっかけで気づくことが多いですか?
松本(MSW)
まず「目に見えない不安って何だろう」と考えるところから始まりますね。
言葉に出さない不安、表情や声のトーン、受け答えの間。そうしたところから「困っているのかもしれない」と察することが多いです。
MSWのもとに届く相談は、大きく二つに分かれます。
ひとつは、病気によって体の力が弱ったあと、どう生活していくかという不安。
もうひとつは、医療費や生活費など、お金に関する不安です。
松本
特に気になるのは、不安を言葉にできない人ですね。
困っていることを発信できる人は支援につながりやすいですが、出さない、出せない人ほど、こちらから丁寧に拾い上げる必要があると感じています。
言葉にされない不安ほど、注意深く見つめる必要がある。
それはMSWの現場で日々実感されていることでした。
では、検査室ではどうでしょうか。
**次回・第2部では、診療検査技師が検査中に出会う「声にならないサイン」**について掘り下げます。